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最近、前立腺摘除術後の尿失禁男性の骨盤底機能は、尿失禁のない健常男性と同等以上であること を示した興味深い研究について述べました。 この知見から生じる疑問は;私たちが行っているトレーニングプログラムは、骨盤底筋機能をさらに向上させるのに十分であるか?ということです。

前立腺摘除術後の尿失禁に対する2つのトレーニングプロトコルの効果を比較したランダム化比較試験では、術前に開始された集中的なトレーニングプログラムが前立腺摘除術後の尿失禁に対して効果があったことが示されています。

方法

取り込み基準:

  • 術前の根治的前立腺摘除術
  • 開腹またはロボット支援前立腺全摘除術
  • 年齢>18歳
  • 尿禁制

除外基準:

  • 急性疾患
  • 喫煙者
  • 糖尿病:タイプ1またはタイプ2
  • アルコール摂取量>21単位/週
  • 精神状態の障害
  • 前立腺手術の既往
  • 放射線療法を受けている、または受けたことがある
  • アンドロゲン遮断療法を受けている、または受けたことがある(抗ホルモン療法)

すべてのタイプの外科的アプローチを施行した患者を対象としました。

治療プロトコル

前立腺摘除術の5週間前に、参加者を「通常治療群」または「高強度骨盤底筋トレーニング群」に無作為に割り当てました(表1)。治療は、1か所の理学療法クリニックで行われました。

 

表1;骨盤底筋トレーニングプログラム

骨盤底筋エクササイズ通常治療群(現在の練習)高強度骨盤底筋トレーニング群
1日あたりのセット数- 3- 6
収縮回数- 10- 瞬発的な収縮10回
- 持続的な収縮10回
1日当たりの合計収縮回数- 30 - 瞬発的な収縮60回と持続的な収縮60回
- 合計120回
収縮と安静の持続時間- 10秒収縮と10秒安静- 瞬発的な収縮1秒
- 持続的な収縮10秒
- 収縮時間と等しい安静時間
肢位- 背臥位、座位、立位- 立位
両群で、以下の指導を受けました:

  • 膀胱訓練(可能であれば2時間以上の間隔をあけてください)
  • カフェイン摂取量は1日1杯まで
  • 尿禁制までの飲酒は避ける
  • 週5日回、30分の歩行を奨励

前立腺全摘除術前の5週間の最初のセッションでは、全患者を対象に、書面と口頭で骨盤底筋を収縮させる方法について指導を受けました。骨盤底筋の収縮は超音波で確認しました。腹筋と呼吸の適切な使い方も指示し、リアルタイム超音波(RTUS)で確認をしました。全部で2回の骨盤底理学療法を受けました。

術後、カテーテル抜去後にトレーニングを開始しました。トレーニングプロトコルは、12週間、同じものでした。

アウトカムの測定:

前立腺摘除術後2週、6週および12週に測定

  • 主要アウトカム:
  • 尿失禁:24時間排尿日誌とパッド重量
  • 副次的アウトカム:
  • QoL:International Prostate Symptom Score(IPSS)、Expanded Prostate Cancer Index Composite for Clinical Practice(EPIC-CP/QoLへの影響)
  • 骨盤底筋機能に対するRTUS

結果

合計97例の男性(平均年齢63歳、BMI 25.40、グリソンスコア7)がこの研究を完了しました。通常治療群47例、介入群50例でした。表1は集中的なトレーニングプログラムを実施群は、通常治療プログラム群と比較して、有意に尿失禁が改善していたことを示しています。

Table 2; reported dry

前立腺摘除術後通常治療(%)介入群(%)
2週間414
6週間1132
12週間4374
介入群のパッド重量についても、通常治療と比較して有意な改善を示しました。

IPPSスコアは6週と12週で有意差を示し、介入群で改善しました。EPIC-CPについて、介入群では2週間で有意に良好なスコアを示しました。しかし、6と12週では、群間に差は認めませんでした。

すべての時点で前立腺摘除術後のRTUS介入群(重要な):

  • より速く繰り返す筋収縮
  • より長く持続させる収縮

私の意見

これは、異なる治療プロトコルを比較するという点で、非常に興味深い研究です。 以前のブログで述べましたが、Staffordの研究では、前立腺摘除術後の尿失禁がない男性は、骨盤底筋機能が健常対照群と同程度か、それ以上に良好であったことを示しました。この研究は、遅筋と速筋をターゲットとするより集中的なトレーニングプロトコルが、一般的なプロトコルより有意に良好な結果を示す最初の研究です。

前立腺手術後の尿失禁男性に対する保存的管理(骨盤底筋トレーニング)に関するコクランの系統的レビューでは、術前および術後の保存的治療の効果に関して、決定的なものではありません。ガイドラインは、多くの場合、系統的レビューまたは複数の比較可能な研究に基づいています。そのため、前立腺摘除術後の尿失禁に対する集中的なトレーニングプログラムの効果に関して、より良くデザインされたランダム化比較試験が必要です。

この研究のプロトコルに関して、私が考えていることが、いくつかあります:

この研究は3カ月の追跡調査があり、前立腺摘除術後1年の時点で骨盤底筋トレーニングを実施している男性と実施していない男性との間に有意差がありませんでした。前立腺摘除術後1年の骨盤底筋の集中的トレーニングの結果はどうなるのかは疑問が残ります。群間にまだ有意差はあるでしょうか?また、集中的トレーニングが介入なしよりも有意に良好な結果をもたらすかどうかについて知ることは、非常に興味深いです。

集中的トレーニングプロトコルは、時間の経過とともに変わりません。過負荷の原則を考慮すると、これは議論の余地があります。過負荷のプロトコルが、より良い結果をもたらすかどうかを見ることは、興味深いです。

このプロトコルでは、前立腺摘除術前の監視下(2つのセッション)トレーニングを開始します。骨盤底を正しく収縮させる方法、収縮中に息を止めない方法、腹筋を収縮させない方法を学びます。男性たちは前立腺摘除術後に、どうのような治療も受けていません。しかし、尿失禁のある男性は、息を止めて腹筋を収縮させることがあります。前立腺摘除術後の運動が、適切に行われているか確認してみてはどうでしょうか?また、活動中に、適切な時に骨盤筋が収縮するように機能的なトレーニングを開始します(協調性)。

結論

術前から開始した集中的骨盤底筋トレーニングプログラムは,前立腺全摘除術後の尿失禁に効果的です.

引用文献:

Milios JEAckland TRGreen DJ. Pelvic floor muscle training in radical prostatectomy: a randomized controlled trial of the impacts on pelvic floor muscle function and urinary incontinence. BMC Urol. 2019 Nov 15;19(1):116. doi: 10.1186/s12894-019-0546-5. (open access)

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